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サニタリー配管の仕様を決める判断基準

設備

食品や医薬の工場などでは、一般的に使用されているサニタリー配管ですが、あまりよく知らないという方向けに紹介していきます。

サニタリー配管とは

 サニタリー配管は、ステンレス鋼サニタリー管として日本工業規格 JIS G3447で規定されています。見た目かなりピカピカで清潔な印象を与える配管です。食品や医薬などが、人の口に入るものなので配管やタンク内で細菌や酵母、カビなどが繁殖しないしないようにしなくてはいけません。

下記のサイトで、一般配管とサニタリー配管の違いやサニタリー配管の設計思想などが、記載してありました。

【プラント設計の基礎】食品や薬品に使われるサニタリー配管って何?簡単な解説です!【規格・溶接】

サニタリー配管を使うときは、液溜まりができないようにする事がすべてです。

・きちんと勾配を設ける。

・クランプ接続などは少なくする。

・サニタリー仕様のバルブや機器類を使用する。

ということが、設計として考慮する必要があります。

CIP洗浄について

 人が食事をしたら必ず食器を洗ったりするように、サニタリー配管に通液する流体は、雑菌が繁殖しやすいです。そのため、雑菌が繁殖しないように頻繁に洗浄する必要があります。このときに配管を取り外して洗浄することはせず、洗浄が必要になってきた段階で、配管ラインに洗浄液を循環させたりします。この洗浄の仕方がCIP洗浄と呼ばれており、純水や温水洗浄やアルカリ洗浄などを行います。詳細は下記を参照してください。

微生物管理に関する国際基準

 ちなみに、サニタリー配管はSUS316Lが使用されていますが、次亜塩素酸ナトリウムなどにも比較的高い耐食性があります。下記の溶出試験で確認できます。また、SUS管に塩酸は基本使用しないですが、5%塩酸でSUS316Lは、1時間で1m2あたり0.2gほど減少したようです。やはり塩酸はダメですね。

シリコロイ ラボ

サニタリー配管の配管表面粗さがRa<0.8umでないといけない理由

 サニタリー配管の配管仕様書や大阪サニタリーやトーステの部品カタログには、標準的に配管表面粗さが0.8umと記載してあることが多いです。サニタリー配管は、雑菌が配管にこびり付かないように表面粗さを小さくする必要があります。微生物のサイズが下記の資料によると1umぐらいなので、それよりも滑らかにしようとしているんですね。

食の安全性について

 ちなみに純水よりもさらに純度の高い超純水も、もともと栄養分がないので微生物が繁殖しにくいですが、死骸なんかが溜まらないように、使用する塩ビパイプは、超純水用のクリーンパイプが多いです。通常のパイプより表面が滑らかになっています。半導体業界とかの水質はppmではなく、ppbオーダーで水質基準をクリアしなくてはならないので、高い技術力が求められます。

エスロンクリーンパイプ カタログ

サニタリー仕様について実際の話 ~どこまで求めるか~

・費用について

 ここまでサニタリーについて書いてきましたが、実際にサニタリー仕様にするとどのくらい費用がかかるのでしょうか?サニタリー配管にするには、表面処理をする必要があり、その分費用が通常より高くなります。だいたいですが、バフ研磨すると2倍、電解研磨すると3倍ぐらいかかります。5.5kwのポンプで1.5か月分の給料ぐらいの値段だったのが、サニタリー仕様にすると3~4か月分の給料ぐらいの値段になります。タンクになるともっとかかります。いくらでもキレイに仕上げる事はできますが、費用の面でコストカットできるならそうしたいでしょう。

・バフ研磨について

電解研磨よりバフ研磨の方が安価だと書きましたが、大面積の部材やタンクだと話が違います。バフ研磨は、♯400で仕上げるように指定するのが多いですが、面積が広いと面倒です。♯320で1~2umぐらいの表面粗さなので、基準は♯320仕上げにしておいて、♯400で磨いてもらうと業者は楽だと思われます。さらにタンクなどは、指紋や跡が付いたりして仕上がりが汚くなるので、外側も酸洗いだけではなく、バフ研磨もしくは、ヘアライン仕上げをするほうがいいでしょう。電解研磨すると、脱脂処理と不働態処理を行うことになります。

・配管溶接について

基本的には、配管や継手同士を接続した後、溶接ビードカットをしてからバフ研磨します。しかし、飲料業界ではビードカットしてないこともあります。ビードに液溜まりができる懸念はありますが、ビードカットせずにバフ研磨するパターンもあるということです。配管の外面は溶接の焼け取り用の酸洗いをしてあります。医薬品業界などは、きちんと内面ビードカットしてからバフ研磨が必要です。

・高圧には耐えられない

サニタリー配管は、ステンレス鋼サニタリー管として定められていますが、配管の厚みは、一般的なステンレス鋼管の呼び厚さ(Sch 20S、Sch 40)みたいに定められていません。さらに、通常のステンレス配管より薄いです。サニタリー配管は、サイズ1S(20A相当)で1.2mmの厚みしかありません。また、配管同士の接続も一般的なクランプで1MPa以下でしか使用できません。そのため、高圧配管としては使用することができません。

ステンレス鋼サニタリー管の寸法

以上がサニタリー配管についての解説でした。参考になれば幸いです。

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