車の洗車で、スポットレスカーウォッシュというコストコの純水洗車器についての記事をいくつか挙げてきました。
・純水ができる原理について解説
・ウンガー純水器を長く使用するための考察
これらの記事で、純水器の中に入っているイオン交換樹脂について、紹介してきました。
再生品は安価でエコ
純水器の交換フィルターの中身は、イオン交換樹脂で、消耗品として交換しながら使っていくことになりますが、正規品の交換フィルターは割高であるという解説もしています。
・正規品 2543円/kg
・同等品 1421円/kg
そして、この記事では、イオン交換樹脂の再生品について解説していこうと思います。
イオン交換樹脂は、消耗品で捨てていると思いますが、実際は再生して使いまわす事が可能です。製造業では、一般的に知られており、再生して使っています。ただ、塩酸や苛性ソーダなどの危険物を使いますので、一般家庭では再現できないのが現状です。
そして、塩酸や苛性ソーダを普段から使っている化学工場などで、使用済みのイオン交換樹脂を回収して、再生して販売する事業もあります。
・再生品 1257円/kg
再生品になると、上記のように安価で、捨てずに使いまわす点で環境に配慮しています。
工場での再生の方法紹介
純水用のイオン交換樹脂というのは、カチオン樹脂とアニオン樹脂の2種類がブレンドされています。カチオン樹脂の若干サイズが大きく、アニオン樹脂の方が若干多めに入っています。
今、下図の左側の状態のように容器内にイオン交換樹脂が入っているとします。イオン交換樹脂の再生をするために、下から上に水を流します(アップフロー)。イオン交換樹脂は水の勢いで容器内を舞い上がります。この時に、容器内のイオン以外の細かいゴミなども舞い上げて排水します。水の流れを止めると、舞い上がった樹脂は、自然落下していきます。この時、カチオン樹脂の方がアニオン樹脂より若干重いので、下図の右側の状態のようにキレイに分離します。逆に言うと、キレイに分離できるように自然落下の距離を長くする必要があるため、容器は縦長となります。
樹脂を分離させたら、下から塩酸、上から水を流して、カチオン樹脂を再生します。そして、アニオン樹脂とカチオン樹脂の分離した境目から排水します。ここでは、手順の話をしますので、イオン交換の仕組みについては、割愛します。ここでポイントは、容器内の下側胴周りに排水管が刺さっている構造になっているという事です。つまり、排水管の高さが樹脂の境界面にくるように、樹脂の投入量などはあらかじめ固定です。
次に上から苛性、下から水を流して、アニオン樹脂を再生します。再生後は、上下から水を流して、容器内の残った薬液を洗い流します。
イオン交換樹脂の再生が終わったら、カチオン樹脂とアニオン樹脂をキレイにブレンドさせる(分散させる)必要があります。
なぜか?
簡単に言えば、純水を作る効率が落ちるからです。純水を作るには、カチオン樹脂のHとアニオン樹脂のOHがセットで必要なので、隣り合っている方がよいです。分離していると、H や OH がカルシウムイオンやマグネシウムイオン、塩化物イオンなどと再イオン交換して、せっかく捕まえたイオンを手放してしまいます。
そういうことで、イオン交換樹脂を分散するために、水かさを減らして、空気のバブリングによって、イオン交換樹脂を舞い上げます。自然落下の距離が短かいので、分離することなく混ざり合います。
このようにして、イオン交換樹脂を再生、再利用します。
塩酸、苛性ソーダを使用するため、一般家庭で再生するのは困難ですが、使い捨てするよりもリサイクルできるような環境が出来ていくといいなと思います。
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