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FRPのリサイクル。現在どんなリサイクル技術があるのか紹介 

SDGs

 お店の改装や古くなった設備の交換工事をしていると、でてくる廃材。これって何処へ持っていかれてるんでしょう?

 私の経験だと、エアコンやテレビとかは家電リサイクル回収場所。スマホは家電量販店のリサイクルボックス。エアコンの銅管や電線、鋼材は地金屋。石膏ボードやプラスターボード、FRPなんかは最終処分場に持ってってました。最終処分場は埋め立てするところで、ゴミの山が何ヵ所もあります。そこをトラックでクネクネ奥の方へ進んで行って、「ここに捨ててください」と言われたところは、大きなクレーターができていて、そこに投げ捨てました。このクレーターに皆がお金を支払ってゴミを捨てて、へこみがなくなり、平らになって、新しいゴミの山が出来るのかと驚きました。

 FRPは、繊維強化プラスチックと呼ばれて、軽量で強い事から、浴槽やヘルメット、船舶の船体に使われていたりします。お風呂のリフォームとかでも、瓦礫(ガラ)と一緒にゴミの山に仲間入りです。コンクリートガラのリサイクルについては、今後調べていくとして、今回はFRPのリサイクルについて記事にしていこうと思います。

FRPとは、なんぞや?

 FRPは、Fiber Reinforced Plastics 繊維強化プラスチックの略称です。1907年に、やかんの取っ手とかに使われているフェノール樹脂(ベークライト)が発明されてから、その中に紙の原料であるパルプを入れて、樹脂を成形しやすくしていました。パルプは植物の繊維なので、このころから複合材料が使われてきてたんですね。実際に普及したのは、第二次世界大戦中(1939~1945)であるようです。この頃にポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ベークライト(PF)の製品が一般的になっていき、アメリカ海軍が舟艇(しゅうてい)の建造に不飽和ポリエステルを使用し、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)が登場しました。これは、不飽和ポリエステルとガラス繊維の組み合わせです。このように複合材料の中で、固い繊維をプラスチックで覆ったものを繊維強化プラスチックといいます。

 FRPに用いられるプラスチックとして、代表的なものは、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂です。充てん材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレークなどがあり、炭素繊維はマイナーな部類で、ガラス繊維とガラスフレークが一般的です。ガラス繊維とプラスチックでGFRP、炭素繊維とプラスチックでCFRPと呼ばれます。

 FRPは、工業的には貯蔵用タンクで使われてます。別に耐圧がないというわけではないでしょうが、金属と比べて、ノズルなどの接合部が弱い感じしますね。※あくまでイメージです。

 また、中性~酸性の液や、ガソリン、ガスで使用されていたり用途は広いです。

 FRPに使われている代表的な3つのプラスチックの材料をまとめてみました。化学は全然詳しくないので、間違っていたらすみません!加えて、あまり説明もできませんが、こんな感じのものが混ざってるんだと思います。

 不飽和ポリエステル樹脂とビニルエステル樹脂のFRPは、ガラス繊維や炭素繊維などに上の混合液を塗るとスチレンの架橋反応で硬化していきます。エポキシ樹脂は、スチレンがなくても硬化するようです。これらは、熱硬化性樹脂と呼ばれて、加熱して成形したりもします。

 FRPは、耐食性があり、軽量で硬い。ある程度ですが、耐熱性や耐圧性もあります。便利ですが、逆に言えば、再利用しにくいという事です。割れてしまっても、ある程度は補修できますが、限度があります。寿命は、0~10年に初期故障がなかったものは、30年経っても大丈夫と言われているようです。ただ、人類がFRPに期待している寿命が低く、まだ使えるのに捨てたりしてるかも。実は100年ぐらい大丈夫かもしれません。FRPは使われだして歴史が浅いので何とも言えません。しかし、現実は捨てられる量が増えていくので、リサイクル技術は必須と考えます。

FRPのリサイクル

 FRPは、上記の内容のような特性でリサイクルが難しいです。リサイクルには、燃料としてリサイクルするか素材を再利用するかに分けられますが、現状は、粉砕して熱回収か埋め立てですが、50~70%は無機物で燃焼しにくいため、大部分は埋め立て処理されています。

ガラス繊維のFRPリサイクルに関しては、

・セメント原燃化

・アルコール溶媒の常圧溶解

・亜臨界水分解

などの技術があり、主流なのがセメント原燃化です。

セメントの成分は、シリカ(SiO2)+生石灰(CaO)+アルミナ(Al2O3)+酸化鉄(Ⅲ)(Fe2O3)

ガラスの成分が、シリカ+生石灰+炭酸ナトリウム

と、成分が似ているので、FRPを破砕機でチップ状にして、セメント製造するときの焼成工程で1450℃のセメントキルン(焼成炉)に入れて再利用するのが、セメント原燃化技術です。樹脂は燃料として再利用されています。

FRPのリサイクルを普及させるには?

 FRPの廃棄物リサイクルが普及してないのは、リサイクルビジネスが上手くいってないからです。セメント原燃化とは言っても、FRPは難燃性物質で、樹脂を燃料にしたり、ガラスをセメントの原料とするのは効率的ではないでしょう。FRPリサイクルするための設備維持費や加工費をリサイクル販売からペイできてない場合、廃棄物運搬業者からFRP回収料金をもらう必要があります。廃棄物運搬業者から見れば、埋め立てのほうが安いのかもしれません。この場合、リサイクルは普及しません。

 エアコンの銅管や電線、鋼材を持っていくと、買い取ってくれる業者ありますよね?あれは、金属に価値があり、再利用できるからです。FRPも素材を分離でき、再利用できれば利用価値が上がります。さらにリサイクル設備を安価に製造して、新品で出回っているFRPよりリサイクル品が安くなり、利益が出れば、廃棄運搬業者からお金をとる必要はありません。上の図のように廃棄物の資産化ができるようになります。

FRPのリサイクル技術の紹介

・アルコール常圧溶解

アルコール常圧溶解は、FRPをアルコールで溶かして、素材ごとに分ける手法です。ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DGMM)とリン酸三カリウム水和物の溶液(190℃の常圧下)で、不飽和ポリエステルは10時間以上かけて溶けて、素材ごとに分離できるようです。設備は有機溶剤を使うために防爆になりますが、FRPの破砕も必要なく、溶媒(DGMM)と触媒(リン酸三カリウム水和物)も蒸留して再利用するため、公害処理設備を必要としないようで、安価に製作できるようです。

・亜臨界水分解

 亜臨界水分解は、FRPを破砕して2mm以下にしたものを、水酸化ナトリウム水溶液0.8mol/Lに入れて、230℃の2.8MPaで、FRPを高い加水分解能力により、樹脂をスチレン架橋部とグリコールなどに分ける事ができます。しかし、FRPを粉砕したり、高温高圧下にする必要があったり、溶解液が高粘度で配管詰まりが起きやすいなど、課題は多そうだし費用も高そうです。また、ガラス繊維はアルカリに弱いので、粉砕して細かくして使うのかもしれません。

 そしてここまで紹介したリサイクル方法は、ガラス繊維で、かつ樹脂が不飽和ポリエステルの時の話です。炭素繊維だったり、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂だとどうなるか分かりませんでした。エポキシ樹脂は、アミン系の硬化剤だとかなり難しく、アセトンの超臨界状態(350℃、5MPaぐらい)で7minで液化するとのこと。

 このように、複合材料の製造技術が色々あり、しかも会社は秘密にするので、確立したリサイクル手法が出来ないという面もあると思います。そもそもリサイクルするという発想が社会にないのかもしれません。しかし、現在は持続可能な開発目標が流行しています。今回調べていて、複合材料の規格を決めちゃって、そのリサイクル技術を確立すれば、リサイクルできないこともないと感じましたので、ここで終わります。

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