ペロブスカイト型太陽電池のたった一つの問題点

SDGs

東芝にてフィルム型ペロブスカイト型太陽電池というものが、開発されました。大面積で15.1%のエネルギー変換効率を達成しており話題になっています。

世界最高のエネルギー変換効率15.1%を実現したフィルム型ペロブスカイト太陽電池を開発

ペロブスカイト型太陽電池の発見

現在、太陽光発電ではシリコン系太陽電池が一般的に普及しています。その素材である、高純度シリコンインゴットを作成するためには、設備投資費用や材料費が高く、太陽電池モジュールの価格に大きく影響しています。その他の種類としては、色素増感系や化合物半導体系、有機半導体系などが存在し、低コストで作成することができますが、低効率や耐久性の低さが問題となっています。

そんな中、このペロブスカイト型太陽電池を最初に製作したのは、桐蔭横浜大学の宮坂 力(つとむ)教授でした。

ペロブスカイトの成功は、人のつながりがなければ成し得なかった。

この方は、過去に富士フィルムで働いていて、色素増感太陽電池やリチウム2次電池の開発等をされています。その後、 桐蔭横浜大学の教授となり、太陽電池で大学ベンチャーを設立されています。

発光材料として研究されていた有機金属化合物のペロブスカイト結晶に注目し、発光するなら光で発電もするのでは?と色々試されて、2009年に酸化チタンの多孔質膜に結晶を作ると、いい感じだという発見をしました。2012年に色素増感太陽電池の発明者であるマイケル・グレッツェル教授とその研究者達が液体を使わない太陽電池、全固体型ペロブスカイト太陽電池を開発しました。エネルギー効率は9.7%で、色素増感太陽電池のように液体の電解液を使わないので、液漏れの心配がないことや高効率であることから、瞬く間に世界中で注目され、宮坂教授は有名になりました。

ペロブスカイト太陽電池とは

・構造

ペロブスカイト太陽電池は、上図のようなセルの積層が基本形です。透明導電膜に電子輸送層として、酸化亜鉛や酸化チタンを積層します。光吸収層と透明導電膜がくっ付いて短絡しないように30nmほどの緻密層、光吸収層と接触面積を増やすために200nmの多孔質層になっています。500℃ぐらいで温めます。その後に光吸収層としてペロブスカイト結晶を積層します。70℃ぐらいで温めて溶媒を飛ばしながらゆっくり結晶を育てます。その後にホール輸送層としてSpiro-OMeTADを積層して、対極を蒸着させて電池にします。トータルで厚さが1~2umほどの極薄電池です。

シリコン系太陽電池より簡単にできて、高効率を出す事ができます。しかし、簡単にできる一方、高効率を出すのが難しいようです。

・セルの段階での課題

寿命が短い

ペロブスカイト太陽電池は、光吸収層に有機金属ハロゲン化物ペロブスカイト結晶を積層します。この層が、空気、特に湿気に弱く、1か月ほどで劣化していきます。

効率が安定しない

ペロブスカイト型太陽電池は、再現性が低く、同じように作っても、性能にバラつきがでてしまいます。結晶の育て方にかなりの技術が求められるということです。

大型化が難しい

小さい太陽電池を製作しても性能にバラつきがでるのですから、大型化するのは、尚の事難しいです。なにより、均一に各層を成膜する技術を開発しなければいけません。

フィルム型ペロブスカイト太陽電池

東芝の開発したペロブスカイト太陽電池はすごいです。以下のサイトを参考にしました。

太陽電池モジュール及び太陽光発電システム 特許

東京を夢の発電所に変えるか、東芝のペロブスカイト太陽電池

まず、上記で述べたペロブスカイト太陽電池とは逆の順序で製膜しています。

透明導電膜に酸化インジウムスズを含ませたp型半導体膜と酸化チタン、酸化スズ、キャリアドープされた酸化亜鉛などで、ペロブスカイトのホール輸送層として作用させています。上記のようなアモルファスの有機ホール輸送層は使っていないと思われます。その上に、ペロブスカイト結晶、電子輸送層と成膜しています。

さらに、メニスカス塗布法とよばれる手法で、大面積を均一に塗布しています。また、画像で見る限り、空気に触れないようシールされているようですので、寿命も長そうです。

つまり、上記の「寿命が短い」「効率が安定しない」「大型化が難しい」は、クリア出来ている、もしくは、あと少しまできているでしょう。

製品化するための大きな問題点

ずばり、鉛を使用していることです。

鉛は特定有害産業廃棄物として、埋め立て処分となります。また、RoHS指令(ローズ指令)で使用制限もかけられています。

ペロブスカイト結晶は、ヨウ化鉛とヨウ化メチルアンモニウムを反応させて作るので、問題視されています。

もちろん、鉛以外のペロブスカイト結晶にしようと、様々な研究もされています。鉛以外の研究もされています。錫のペロブスカイト結晶は、空気に触れると瞬く間に結晶が崩れて行ったりするようです。

しかし、鉛フリーのペロブスカイト太陽電池もすぐに開発されます。2009年に注目され始め、まだ12年しか経っていないのに、ここまできています。

環境にやさしい高効率太陽電池が上市される未来に期待しましょう。

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