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塩の製造方法について解説。塩の安全基準や3大塩メーカーを紹介します。

生活

海水の成分

海水には塩分が3.5%ほど含まれています。それらは、塩類結合型として分類すると上図のような割合となるようです。イオンとして分類すると、陽イオンはナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオンが多く、陰イオンは塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオンが多いです。

マグネシウムイオンは、にがりの主成分です。にがりは「苦汁」とも書き、苦いです。

硫酸カルシウムは、石膏(せっこう)なので、スケール分として塩づくりの効率を下げます。

その他0.3%とありますが、様々な物質が存在します。例えば、不溶解分だったり、下記資料に記載されているイオン成分も入っているようです。

講座:海水の分析,特に微量成分について

・レアメタルも存在する!

実はレアメタルも微量ながら存在するようです。特にルビジウムイオンが割とねらい目な感じがします。イオン交換樹脂などで選択的にルビジウムや金をとれたら、ビジネスチャンスがありそうです。

リチウムイオン Li 180 ug/kg ・・・ 0.58円/g

ルビジウムイオン Rb 120 ug/kg ・・・ 2400円/g

塩化金 AuCl2 4×10-3 ug/kg ・・・ 2500円/g

塩の安全衛生基準

不溶解分には、泥、砂、さび、海草、プランクトン、海洋生物の糞尿や分解生成物、陸上からの汚染物質、製造後の事故による混入物などが含まれます。 他の成分は悪そうなものばかりですね。また、有機臭化物が検出されてはいけないということで、脱臭にかなり力をいれなければいけません。しかし、水道法や食品衛生法の水質基準に比べると濃度が高いものがありますね。塩なので、あまり口に入れないからでしょうか?

水道法と食品衛生法の違い、水質基準の比較をしてみた。

・フェロシアン化物

上図の食用塩の基準に加えて、フェロシアン化物も検出しないよう規定しています。フェロシアン化物は塩の固結防止剤として使われる食品添加物で、厚生労働省は認定しているのですが、慢性毒性、発がん性、遺伝へのデータが不十分なので、一般社団法人 日本塩工業会では認められていません。国際的には、安全性に問題がないという認識のようです。

そもそも、塩の販売には明確な品質基準も法的拘束力もありません。

塩事業法第一条に「良質な塩の安定的な供給の確保と我が国塩産業の健全な発展を図るために必要な措置を講ずることとし、もって国民生活の安定に資することを目的とする」ことがうたわれています。しかし良質な塩の安定的供給を裏付ける基準あるいは検査については、塩事業法には定められていません。現状は、専売制度の廃止に伴い、民間企業の自主的な品質管理によって生産、販売される仕組みとなり、「良質な塩の安定的な供給」の責務は、製塩会社の自主的な品質管理にゆだねられている状況です。

一般社団法人 日本塩工業会 食品塩の安全衛生ガイドライン

そのため、日本塩工業会が安全に塩を口にできるように様々な基準を設けています。上図の製品検査のガイドラインも日本塩工業会によって規定されています。これに合格した会社が安全衛生基準認定マークと海の子ソルティマークを取得できます。現在の認定工場は3社のみで、後ほど説明します。

塩の製造方法

・海水淡水化装置

海水淡水化とは、海水から塩分を取り除き、飲み水にすることです。逆に利用すれば、海水を濃縮し、塩分を濃くすることができます。現在の主流は、蒸発法、膜法の2つです。

蒸発法は、読んで字の通り、海水を蒸発させて水分をとばしてしまう方式です。バロメトリックコンデンサーというものがあり、缶の中を真空にして高温蒸気で海水を蒸発させて、濃縮できます。

膜法は、直流電圧によって海水の陽イオン、陰イオンを移動させて、イオン交換膜によって陽イオン、陰イオンを集めて濃縮するやり方です。イオン交換膜電気透析法ともいいます。また、海水用の逆浸透膜(RO膜)を用いて濃縮させる手法もあります。逆浸透圧膜は、蒸気法と比べてもエネルギーコストも少なく、蒸気法で発生するようなスケールや腐食などが発生しにくいです。しかし、十分に前処理をして、海水から不溶解分などを取り除かないと、膜が詰まって濃縮しにくくなったり、逆洗もできず、膜交換を数年に一度しなくてはいけないことから、イオン交換膜電気透析法が主流のようです。イオン交換膜電気透析法は、水圧というよりも電気の力でイオンを移動させて海水を濃縮させるため、詰まりは発生しずらいといえます。濃縮海水には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオンが含まれ、マグネシウムイオンは膜透過率が低く、排水されます。

・砂ろ過

上記に述べたように海水には各種イオン分や 泥、砂、さび、海草、プランクトン、海洋生物の糞尿や分解生成物、陸上からの汚染物質、製造後の事故による混入物などが入っており、海水からこれらを取り除かなくてはなりません。 砂ろ過によって、これらの成分を取り除きます。懸濁物質とも呼ばれており、砂ろ過で表面に沈殿したり、砂と砂の間に沈着したりします。数umぐらいの大きさなら、ろ過できます。そして、定期的に逆洗して、ろ過したゴミを排水します。このように、海水を濃縮してろ過したものをかん水と呼びます。

・せんごう工程

かん水を煮詰める工程です。真空式蒸発装置や蒸発結晶缶と呼ばれるところにかん水を投入し、塩の結晶を析出させます。加熱するのに石炭ボイラーを使用しており、問題視されそうです。そして、塩の結晶をたくさん含んだスラリーとして遠心分離機にかけて、塩の結晶を取り出し、乾燥させて包装しています。スラリーの液体分は苦汁成分(カリウムイオン、マグネシウムイオン)を多量に含んでいます。他の用途で使うため化成品工程に送られます。

塩の製造における副産物

塩の製造で出てきた苦汁成分を蒸発させて、スラリーを冷却します。その後、塩化カリウム結晶と濃縮にがりを遠心分離にかけ、塩化カリウム結晶を塩化カリウム母液に高温で溶解させて、冷却析出させます。これを脱水、乾燥させ、精製塩化カリウムとして販売します。

塩業界の3大メーカー

日本塩工業会の安全基準に合格した会社は、日本国内に3社あり、海の子ソルティマークを取得して安全な国産塩を提供しています。以下に各社の紹介をしていきます。ちなみにこれらの会社は、製造方法が似ています。これには理由があります。かつて、大蔵省が日本の製塩事業の成長と塩の安定供給を実現するために、1905年から塩専売制を実施しました。その後、何度か塩業整備を行った結果、選び抜かれた7社のうち、塩専売制度が廃止されても、品質を認められた3社だから似通っており、イオン交換膜法を使っています。

・ナイカイ塩業    岡山県玉野市 瀬戸内海

製品:ナクルフォー

会社紹介パンフレット

・鳴門塩業    徳島県鳴門市  瀬戸内海 鳴門海峡

・ダイヤソルト   長崎県西海市  五島列島

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